高尾山で出会ったコウヤボウキ

2026.2.16

“掃く”という日本の精神文化と庭づくり

 

先日、高尾山 を歩いていると、冬枯れの林縁で小さな低木に目がとまりました。

それがコウヤボウキ(キク科コウヤボウキ属)です。

キク科の多くは草本ですが、本種は落葉小低木。高さは1mほど。

秋に咲く花も、花後に残る冠毛も、どこか綿毛の束のようで愛嬌があります。

しかしこの植物の本当の魅力は、その姿だけではありません。

 

 

 

コウヤボウキと箒の歴史

 

コウヤボウキは古名を「タマボウキ」といい、古くから箒の材料として利用されてきました。

高野山で使われていたことが名の由来とされ、奈良の 正倉院 に伝わる宝物「子日目利箒」にも使用されたと記録されています。

つまりこの植物は、生活用品の素材であると同時に、神事に関わる神聖な道具の材料でもあったのです。

 

 

日本における「掃除」は神聖な行為だった

 

日本では「お掃除」は単なる清掃ではありませんでした。

奈良・平安期の神事において、箒は穢れを祓う道具。

鎌倉時代の禅宗では掃除そのものが修行。

年末のすす払いも、単なる大掃除ではなく新年を迎えるための浄化の儀式です。

掃くという行為は、場を清めること。

同時に、心を整えること。

その中心に常にあったのが「箒」でした。

身近な道具に、精神文化が宿っていた。

現在にも通じる考え方が、すでに千年以上前から育まれていたことに驚かされます。

 

 

庭仕事と“掃く”という行為

 

植木屋の仕事でも、掃除は仕上げではありません。

むしろ重要な工程のひとつです。

落ち葉を掃きながら、

 

・枝ぶりの変化
・樹勢の衰え
・害虫の兆候

 

を観察します。

掃くことは、庭と対話すること。

庭の声を聴く時間でもあります。

竹箒で落ち葉を集める音は、静かなリズムを刻みます。

その所作は、どこか禅寺の朝のようでもあります。

 

 

コウヤボウキがつなぐ自然と文化

 

コウヤボウキは里山環境に生きる植物です。

環境の変化とともに姿を減らしている地域もあります。

もし身近な植物が減れば、

それとともに道具の文化も、精神の文化も薄れていくのかもしれません。

冬の山であの丸い冠毛を見つけるたびに、

一本の低木が、日本人の精神史とつながっていることを感じます。

 

 

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庭は単なる景観ではなく、

暮らしと精神文化を映す場でもあります。

「掃く」という営みまで美しい庭を。

そんな庭づくりをお手伝いできれば幸いです。

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